

維新みらいふスタジアムにサガン鳥栖を迎える明治安田J2・J3百年構想リーグ第5節のキックオフが迫る。今節はレノファ山口FCにとって2勝目が懸かる試合だ。
鳥栖とは2024年に天皇杯ラウンド16で初対戦し、レノファが19.山本駿亮と若月大和のゴールで2-0で勝利。昨年はリーグ戦で2度の対戦があり、2-2のドローと1-2の惜敗となった。
いずれの試合もゴールが生まれており、引き分けとなった2025年4月のアウェイゲームはセットプレーの流れから14.下堂竜聖が決め、さらに22.奥山洋平からの低いクロスボールを受けた38.末永透瑛がゴールを挙げた。同年10月のホームゲームでは、岡庭愁人のクロスをゴール前で34.古川大悟などがつなぎ山本桜大が決めている。
過去の対戦を踏まえれば、レノファにゴールが生まれそうな予感がする試合だ。そして実際に今年はゴール前の局面が昨年以上に増えそうだ。
今節のポイントになるのが、お互いのフォーメーションの違い。レノファが3-2-4-1の形を採るのに対して、鳥栖の基本的なシステムは4-3-3。互いに攻撃局面や押し込まれた際の守備局面では形を変えるが、ベースとなる立ち位置がかなり異なる。メインスタンドやバックスタンドから観戦する場合は、その違いもはっきりと見えるだろう。
前節鳥取戦のような“ミラーゲーム”では、常に目の前に相手選手がいる状況になりやすいが、今回の組み合わせはスペースが空きやすく攻撃者側に有利に働く。特に今季はレノファも鳥栖もボールを持って主導権を握るサッカーをしてきており、ゴールに接近する回数の増加が期待される。サッカーのダイナミズムがペナルティーエリア内の勝負に宿るとすれば、今節は両サポーターにとってワクワクするゲームになる。

噛み合わせの上で相手のウィークになりやすいボランチ脇やサイドバックの背後などのスペースを突き、レノファが効果的にボールを前進させられれば、勝機は見えてくる。今節も応援の力をエネルギーに変え、半年前の試合で得点をアシストした古川、今季すでに2得点を挙げている28.小林成豪などがゴールを狙う場面を多く作り出したい。
一方で守備では自分たちの形を崩してプレスに行かないといけないため、リスク管理が重要になる。鳥栖はレノファでもプレーした酒井宣福(背番号15)、熊本で活躍してきた塩浜遼(同88)などが攻撃のキーになる選手たち。鳥栖はボールの保持力があるとはいえ、一本のチャンスでも仕留められる顔ぶれが前線に並んでおり、5.喜岡佳太や14.下堂竜聖が適切な声掛けをして守備組織を機能させたい。

もう一つ楽しみなのがメンバー選考だ。前節はGKで41.飯田雅浩が今季初先発。下堂、77.山本龍平もスタートからプレーした。それまでの試合に出ていた選手もポジションが変わり、2.小澤亮太は右ウイングバック、17.田邉光平はシャドーに移った。持ち味を発揮できた選手が多く、今節も小田切道治監督がどのような選手を選んで、どこに置くのか、選手の起用法にも注目だ。
その小田切監督は「勝ちにこだわって勝ち癖を付けないといけない。細かい部分も追求しながら、勝点3を早い段階で積み上げていかないといけない」と強調。前節はチャンスは多く作りながらも無得点に終わったため、細部の質とともにメンタリティーの部分から勝負にこだわる姿勢をチームに求めて、今節の白星を目指す。
ゴール前の局面が増えそうだからこそ、さらに質を高め、思い切りの良さも出して、ゴールを積み重ねたい試合だ。もちろんJ2を舞台とする鳥栖との対戦はレノファの現在地を見るにも良い試合になる。維新みらいふスタジアムでの今季2勝目を手にするため、今節もスタジアムが一つになって実力者の揃う鳥栖からの勝利を掴み取ろう!

去季はボランチを主戦場とした17.田邉光平が今季はウイングバックやシャドーで存在感を示している。元来、攻撃にも注力してきただけに、シャドーでの起用となった前節は34.古川大悟との連係からゴールに迫る場面を創出。得点にはあと一歩及ばなかったものの、ポジション取りの良さを攻撃の迫力に結びつけた。
「サイドだとほぼ前向きにプレーすることが多く、ライン間で受けてターンしたりというところはそこまでなかった。そういう(ライン間で受ける)プレーは自分の特徴というか、好きなプレー。外から見ていてもFWの近くでポジションを取れれば良いなと思っていたりもしたので、その関わり方は大事にプレーした」
開幕からの3試合を左ウイングバック、前節をシャドーでピッチに立った田邉は鳥取戦をそう振り返る。その言葉からも分かるように、田邉は中央でボールを受け渡せる選手だ。サイドをアップダウンするウイングバックでも良さは出すが、前節は中央でプレーする時の引き出しの多さを改めて示した。
小田切道治監督も「中でのプレーはもともと生きるところだと思う。サイドから中へ関わることはプレシーズンからやってきていたが、公式戦では出せていなかった。中のほうが生きるというのは改めて感じたところだ」と話し、シャドーで見せたプレーを評価する。
持ち味が凝縮されていたのが後半立ち上がりのプレーだろう。敵陣右サイドのスローインで2.小澤亮太が長めのボールを34.古川大悟に当てると、田邉は相手のバックラインと中盤の間に走り込んで右足を振った。GK正面に飛んでゴールとはならなかったが、「ゴールを意識して入った」と言う田邉はライン間で受けるだけでなく、自らシュートまで完結させた。
「自分の中でもタッチ回数、ボールを受けるところは考えていて、多くボールに関わることはできた。チャンスは作れていたので、本当に結果がついてくればと思う。最後の決める感覚とか、相手の意表をつくというところではもっともっとできたことはあった」
手応えと悔しさが両方こみ上げる試合になった。ただ、ボランチでプレーし、ウイングバックでもプレーした田邉だからこそ、FWが求めるラストパス、中盤が求める立ち位置を自らのプレーに取り込み、わずか1週間で表現してみせた。その順応性や成長力は頼もしい。
チームの共通認識となっている守備でも「何回かはがされる場面はあったが、チーム全体として狙いを持ってできた」と話す。今節も相手のボール保持の質を削ぐ必要があり、田邉は「鳥栖はボールを握るのがうまい印象があり、タレント揃いのチームでもあるので、そこに個人としても負けないようにやっていきたい」と話す。
2024年にレノファに加入し、いろいろなポジションを経験しながら、対人守備やポジショニングに磨きを掛けてきた。そしてプロ3年目の今季は得意とするポジションで真価を発揮しつつある。とりわけ昨季も顔を合わせた鳥栖との一戦は、自らの成長ぶりを表現するにも格好の試合になる。
「前節も勝てた試合ではあったので、質にはこだわりながらやっていく。サポーターに勝利を届けられていない状況なので、結果を残してチームの勝利に貢献したい」
維新みらいふスタジアムに勝利を届けるために、あらゆるポジションに適応して変幻自在に動く田邉光平。この鳥栖戦も輝くプレーの一つ一つに注目だ。

今年はゲームをコントロールできるシチュエーションは多いですし、ボールを持つことで失点するリスクも下がると思います。その分、自分たちがやりたいことを増やせるので、その時間はもっと増やしたいです。守備に関しては意識して奪い切ることも全員で意識を合わせてできてきていると思います。
鳥栖はハードワークしてくるチームで、この試合もタフなゲームになると思いますが、自分たちがゲームをコントロールできれば、逆に相手にも疲れが出てくると思います。主導権を渡さないとか、主導権を相手から奪うために、球際に強く行ったり、五分五分のボールを自分たちのものにできるようにしていきたいです。(磯谷駿選手の)特徴は分かっているので、試合で対峙すればうまく攻略していきたいです。
今年は先発できていて、やはり途中から入るのとは全然違いますが、これまでの試合も勝たないといけない試合がたくさんあったので、あまり手応えはないです。ケガで出られない選手もいる中で、試合に出るチャンスをもらえているので、やはり結果を残さないといけないです。
鳥栖は後ろからビルドアップして、距離感近く攻撃してくるという印象があります。そういうところでは厄介な相手だというイメージがあります。(磯谷駿選手が試合に出れば)対人に強い選手なので、やりづらい部分もあるのかなと思いますが、自分たちは勝ちにこだわり、チャンスが作れるように集中して試合に臨みたいと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
サガン鳥栖 PICK UP PLAYER
磯谷駿(背番号76)
下関市出身のレフティー
特徴を知る選手同士の対決に注目
鳥栖で注目する選手は下関市出身の磯谷駿だ。大卒ルーキーの昨シーズンをレノファでプレーし、デビューイヤーながら23試合に出場した。Jリーグデビューはほぼ1年前に開催された2025年3月23日の熊本戦。Jのプレー強度やスピードにも慣れてくると、夏以降はスタメンに定着して、3バックの左を持ち場に奮闘した。
2025年4月に駅スタで行われた鳥栖戦では途中出場で失点に絡んでしまい、ほろ苦い試合となったが、半年後のみらスタ開催試合では敗戦こそ喫したものの、強度の高い守備やパス供給などで安定感を見せた。その成長ぶりも評価されたのだろう。シーズン終了後にはJ2リーグを戦うサガン鳥栖への移籍が決まり、今季は鳥栖のユニフォームに袖を通す。開幕から3試合でベンチメンバーに選ばれており、今節も出場の可能性がありそうだ。
特徴は守備時の強度と、左利きを生かした供給力だ。ポジションを争う選手層が厚いとはいえ、磯谷が試合に出ればセンターバックの左で持ち味を生かすとみられる。直接マッチアップするのは34.古川大悟や17.田邉光平などになるが、2.小澤亮太や5.喜岡佳太も内側の位置を取れば磯谷と対峙する。特徴を知る者同士の対戦でもあり、迫力のある攻防が繰り広げられそうだ。
INFORMATION
●3月ホームゲームチケット発売中