

2021年以来の“関門海峡ダービー”が実現する。3連休最終日に組まれた対戦カードは、関門海峡を挟んでホームタウンが対峙するレノファ山口FCとギラヴァンツ北九州の一戦。5年ぶりのダービーは多くのサポーターが維新みらいふスタジアムに集い、熱い試合になりそうだ。
関門海峡ダービーは2016年に始まり、同年の初回対戦はレノファがJ2初勝利を手にする試合となった。その試合を含めた通算成績はレノファの3勝1分2敗。ただ、2021年の前回は新型コロナウイルス禍の中で行われたこともあり、両チームのサポーターが声を枯らして応援する光景は見られなかった。声援が響き渡るダービーとなるのは2016年以来、10年ぶりだ。
レノファは前節のPK勝ちを含めて3連勝が懸かる試合となる。勝負のポイントになるのが中盤のボール保持とゴール前のクオリティーだ。

中盤のポゼッションでは、自陣からのビルドアップとフィニッシュワークの橋渡しをする7.三沢直人や17.田邉光平がカギを握る。この二人のプレーがはまるほど、一列下の6.輪笠祐士と40.成岡輝瑠、一列上で34.古川大悟と連動する19.山本駿亮の自由度が上がり、攻撃のリズムが出てくる。
2節前の鳥栖戦や前節の琉球戦でもボールを持てる試合展開を作れており、今節も中盤での保持力をキープできればチャンスは多く作れそうだ。その分、最前線に入る古川、11.藤岡浩介などの最後の質が大事になる。シュートで終わるのみならず、しっかりと枠を捉えるラストショットで勝ちきりたい。
対する北九州は開幕から6連敗と調子が上がっていない。前節は鳥栖と対戦して序盤から劣勢を強いられた。ただ、北九州もボール保持自体の質は高く、相手のラインが下がってくると確実にシュートまで持ち込んでいる。
特に町田でのプレーを経て北九州に復帰した髙橋大悟(背番号66)は要になる選手で、髙橋がリンクマンとして機能するとシュートの質が高い永井龍(同10)や北朝鮮の代表合宿に招集された高昇辰(同29)の躍動を許すことになる。中盤の勝負で優位に立つことがレノファが無失点で試合を進めるには重要だ。

今回のダービーのもう一つの見どころはそれぞれのアカデミー出身選手のプレー。レノファはもちろん河野孝汰の背番号を引き継いだ20.末永透瑛に注目だ。2戦連続でサブメンバーに選ばれ、前節は終盤でピッチに立った。試合展開によって持ち場は変わるものの、隙を逃さずシュートシーンに顔を出す積極性をしっかりと発揮したい。
北九州も自チームのユースからトップチームに昇格した選手がメンバーに選ばれており、左サイドハーフの坪郷来紀(背番号25)、ボランチとサイドバックでプレーする官澤琉汰(同40)は試合に立つ可能性が高い。両チームにとって彼らの活躍はクラブのスケールアップやアカデミーの成長の糧にもなる。マッチアップすることも十分に考えられ、プライドを懸けた攻防に期待大だ。
1月の北九州とのトレーニングマッチや直近のゲーム内容を踏まえれば、久しぶりの関門海峡ダービーは強度やボール保持のクオリティーでレノファに分がある。とはいえ、内容と結果は常に一致するものでもない。一瞬の隙を生んでしまった前節の反省を生かし、弛みなく試合を運びたい。それと同時に、声援が響き合うダービーの熱気を大いに楽しみ、笑顔が満ちる最高の週末にしていこう。

3節前の鳥取戦でレノファ加入後の初先発を任せられ、同節と翌鳥栖戦を無失点、前節もPK戦で相手のシュートをファインセーブし、勝点2をもたらした。レノファの新たな砦、41.飯田雅浩の存在感が際立つ試合が続いている。
飯田は東京Vのアカデミーや青森山田高、国士舘大を経て東京Vのトップチームに入り、期限付き移籍した2024年のJ3八戸でJリーグデビューを飾った。去季は讃岐で34試合に出場して正GKとしての地位を獲得。今季はさらなる成長を目指してレノファを選んだ。
体の厚さからも見えてくるようなシュートストップの確実性やよく通る声を生かしたコーチングは彼の揺るぎない武器だが、飯田は自身のストロングポイントをこう言い切る。「聞かれた時に答えるのは一つ。存在感。キーパーとしての技術もそうだが、スタジアムで見た時の存在感、オーラ。それがあるキーパーを目指している」。
前節はPK戦で相手5人目のキッカーを止めた。一般論としてPKは駆け引きが大事だと言われてきたが、近年はキッカーもキーパーもあからさまな動きが制限されてきている。逆に言えば、プレッシャーという内面とキックやシュートストップの核心技術にのみ焦点が当たる。図らずもそれは飯田の強みに重なる。
「決められたルールの中でどれだけ相手にプレッシャーを掛けられるか。止めそうなオーラを出しているキーパーに蹴るのは難しいと思う。そういう雰囲気の部分で駆け引きしていきたい。PKが得意だと強気に言ってあえて自分にプレッシャーを掛けていたところがあったので、PKで連敗するというのはできなかった。1本しか止められなかったが、勝てて良かった」
勝負強さを見せる飯田はキッカーにも名乗り出る。「いつもオタさん(小田切道治監督)が蹴りたい人を聞いてくれる。琉球戦も手を上げて、僕は6人目に選ばれていた」と言い、仮に6巡目に入っていれば、飯田は相手のシュートを止めた上で自らシュートを決めるというGKにしかできない芸当をやってのけていたかもしれない。
「本当は5番目以内に蹴りたいですが」。飯田はそう笑みを浮かべ、「練習でも外したことはないので、信頼を勝ち取れればいつか回ってくると思う」と誓う。もっとも、リーグ戦なら勝点3を得るのがプレーヤーの役目。飯田は微笑んだ顔をすぐに解き、フィールドで見せるのと同じように強い表情でこう続けた。
「連勝はできたが、90分で勝てなかった。シュートに対してしっかり弾き出せるキーパーにならないといけない。あの一瞬で勝点3が取れなかったことは反省している。連勝できたからといって浮かれている雰囲気はなく、厳しさを求めてやっていかないといけないということは、チーム全体で思っていることだ」
今節は北九州と対戦する。飯田は2024年と25年にそれぞれ1試合ずつ北九州との対戦でゴールを守っている。個人としての成績は1勝1敗。いずれの試合でも相手は永井龍がセンターFWで先発しており、飯田は彼を念頭に「前線に強烈な選手がいるので、今まで以上にディフェンスラインの準備は大切になる」と警戒する。
「北九州は下からビルドアップしてくるチームで、ボールを大切にしてくる。自分たちのホーム戦だが、ダービーで北九州サポーターの熱も熱いと思うので、そこに呑まれないようにしっかり準備したい。去年、一昨年と対戦してどういうサッカーをしてくるかというのは頭にあるので、その経験を生かしながら戦っていきたい」
飯田にとってのレノファでの4試合目は、注目のダービーマッチ。「ホームで負けるわけにはいかない。90分で勝点3を取り、サポーターの方々と勝利を分かち合いたい」。代名詞にもなっている存在感をフィールドで存分に見せつけ、オレンジのサポーターに勝利を届けてみせる。

もう少し前でボールをつないでいければ良いなと思います。相手の前プレスにはまってしまうところがあったり、後ろが重くなったりして、前と後ろの距離感はちょっと良くないところもありました。(田邉)光平選手とは(琉球戦で)距離感が遠かったよねという話もしているので、もうちょっと良い距離でやりたいということは確認しました。
北九州とは練習試合でも対戦しているのでどういうチームかのイメージはあります。中盤を使ってきてつないでくるという感じがありますが、まずはレノファが自分たちのサッカーをすることが大事です。自分たちのミスからの失点をしているのはなくさないといけないです。最近の試合は前半で良い入りができているので、そこで点を取りたいと思います。セットプレーも良いところに上げられているので、あとは中とのちょっとした連係で決めていければと思います。
北九州はしっかりボールを動かしながら、サイドも使いますし、前線にはターゲットになる選手もいます。北九州が勝てていないのは事実ですが、全てが悪い内容ではないです。通常のリーグ戦も順位が下のチームとの対戦もあると思いますが、そういうところにいかに勝ちきるかということは、リーグ戦を戦う中でも大事なことだと思います。
ダービーというのはその土地の方々の思いが詰まっているものだと思いますし、ダービーと名の付くものは絶対に負けてはいけない。しっかり気持ちを前面に出して勝ちきる試合をしたいと思います。富山と石川もバチバチやっていました。富山と石川は廃藩置県の時からのそういう文化があり、高校生の時からスポーツでは(富山は石川に)負けないという話はしていました。山口でもダービーというプライドとプライドの戦いだと思います。地域の応援があっての我々の存在意義ですので、地域の方たちが、勝って地域を誇りに思ってスタジアムを後にできるようにするのが一番だと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
ギラヴァンツ北九州 PICK UP PLAYER
生駒仁(背番号22)
北九州の注目選手は2022年と23年にレノファでプレーした生駒仁だ。鹿児島県出身の生駒は鹿児島城西高から横浜F・マリノスに加入し、2019年からは北九州に期限付き移籍した。センターバックを主戦場に出場機会を増やすと、レノファでは2年間で47試合に出場して守備の中心となった。セットプレーの得点源にもなり、23年は4月の秋田戦でコーナーキックから決勝点を挙げている。
24年と25年にいわきでプレーしたのち、今年は再び北九州に加入。おのサンサッカーパークで行われた1月16日のトレーニングマッチにも参戦しており、両サポーターから声援も飛んだ。J2・J3百年構想リーグでは3試合に先発しており、前節もフル出場。北九州は守備陣のほとんどが入れ替わるという状況の中で、高さがあり対人でも強さを見せる生駒は守備の要となっている。
185cmの高さがある生駒とは34.古川大悟が直接のマッチアップとなるほか、展開によっては11.藤岡浩介、19.山本駿亮とも火花散るバトルとなりそうだ。もちろんセットプレーでも激しい競り合いが予想される。レノファでプレーした選手とのゴール前での手に汗握る攻防から目が離せない試合となりそうだ。
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