

今節は鹿児島ユナイテッドFCを維新みらいふスタジアムに迎える。レノファ山口FCと鹿児島の対戦は「薩長ダービー」とも呼ばれ、熱い攻防が期待される。レノファにとってはJ2・J3百年構想リーグの2連勝が懸かるとともに、鹿児島戦は前回対戦を落としているだけに、絶対に負けられない試合となる。

レノファは前節の大分戦に勝利して、勝点を15に伸ばした。相手に先制点こそ許したが、今季初先発となった11.藤岡浩介が同点ゴールを決め、試合終盤には途中出場の49.峰田祐哉がコーナーキックの流れから逆転弾を放った。
大分戦では6.輪笠祐士、7.三沢直人で組んだボランチのバランスが良かったほか、4.中島賢星と11.藤岡浩介のシャドーはポジショニングの良さや先を見通したプレー選択で攻撃を活性化させた。今季初出場となった8.野寄和哉も良い流れを引き継いで果敢にプレーした。こうした中盤の連動性は今節にも生かしたい。
特に鹿児島は強度の高い守備がベースにある。フォーメーション自体はオーソドックスな4-4-2ながらも対人守備は厳しく、マンツーマン気味に強くボールを奪いにくる。レノファは鹿児島との前回対戦や似たような強度を持つ宮崎戦で苦しい戦いを強いられており、今節は1対1の局面で相手を上回る戦いを続ける必要がある。
ボールの動かし方自体も今節のポイントだ。今節は相手とフォーメーションが異なる分、前線には必ず余る選手が出てくる。ピックアップ選手として紹介する藤岡が話すように「段差」ができやすく、はまればレノファが相手陣地でスムーズにボールを動かせそうだ。特に藤岡や中島、野寄のボールへの関わりは重要になる。流動性の高い彼らの動きには要注目だ。
対する鹿児島は守備から攻撃への切り替えが素早く、テンポ良くゴールに迫る。前回対戦ではレノファの連係ミスを突かれ、福田望久斗(背番号11)に決勝点を許したが、その場面からも分かるように前線には勢いがある。
福田のほか、前への矢印を強く持つ河村慶人(同18)、古巣対戦となる有田稜(同9)や米澤令衣(同36)など、警戒すべき選手は多い。レノファもボールを失ったあとに素早く切り替え、相手のスピードに対して強度と走力でタフに対抗したい。レノファが常にボールを持てれば最高だが、流れの悪い時間帯にもどれだけ守備のタフネスを維持できるかが勝負を分ける。
勝敗を分かつもう一つの要素はセットプレーだ。強度の高い試合はセットプレーが増え、ペナルティーエリア周辺でのフリーキックのチャンスは双方に訪れる。レノファは7.三沢直人、8.野寄和哉などキッカーが充実しており、レフティーでは古巣対戦の36.西堂久俊も候補になる。バチバチとした試合だからこそセットプレーでも得点を挙げていきたい。

さあ、今季2度目の薩長ダービーが始まる。勝って鹿児島との勝点差を縮めることはもちろんだが、2026/27シーズンのライバルになると目される相手でもあり、勝ち方にもこだわりたい。維新みらいふスタジアムに応援を轟かせ、90分での勝点3奪取へ。どこにも負けない熱戦を繰り広げよう!

快活なプレーを披露し続ける11.藤岡浩介は、高杉晋作ゆかりの東行庵がある下関市吉田出身のFWだ。藤岡は中学生年代から宮崎県の日章学園に進学して研鑽を積み、2013年にファジアーノ岡山に加入。トップチームでは出場機会がなく、下部リーグに所属していたセカンドチーム(ファジアーノ岡山ネクスト)で試合経験を重ねた。
2017年に九州リーグ時代のテゲバジャーロ宮崎に移籍すると、主力選手の一人としてJFLとJ3への昇格に貢献。その後は岐阜や今治で活躍し、2024年は岐阜で19得点を挙げてJ3リーグ得点王に輝いた。地域リーグやJFLでのプレーを経てJリーグの舞台に立ち、個人タイトルも掴んだ藤岡は今季、新天地に地元のチームを選んだ。もちろんレノファをもう一度J2に戻すことが藤岡自身が認める役割だ。
J2・J3百年構想リーグ自体は昇格がないとはいえ、藤岡はチームを引っ張り上げるべく力を注ぐ。コンディションの面から今季序盤は試合出場が限定的だったが、2節前の古巣・宮崎戦で後半の45分間に出場して攻守でハードワーク。前節の大分戦では先発に抜てきされると、2.小澤亮太のクロスボールの流れから生じたスクランブルに飛び込んで右足を振り、今季初得点を奪取した。
「大分戦でスタメンのチャンスが巡ってきた。チームとして勝つことはもちろん、個人としても結果を残さないといけない試合だった。気合いを入れて試合に入り、ゴールできたのは良かった。(相手に先制されて)気持ち的に全体がちょっとガクっとなっていたが、うまくこぼれ球に反応して早い段階で追いつけた」
ポジションはこれまでとは異なるシャドーでの起用だったが、34.古川大悟が頂点でボールを引き出す一方で、藤岡は流動的に動いて古川やウイングバックなどと関わった。「シャドーはあまりやっていなかった」と話すが、ポテンシャルの高さは結果が証明した。
「与えられたポジションでやり、そこで結果を残すことは意識していた。シャドーでも臨機応変にできたと思う。自分自身、点を取りたいという欲は強いので、それを結果につなげられた。流動的にやっていいと言われていたし、うまく周りとも話しながらやれた」
表現したのは攻撃の連係だけではない。守備でも適正な立ち位置から相手にプレッシャーを与え続け、相手はボールをつなぐのに苦慮する様子もあった。そんな藤岡を小田切道治監督も高く評価する。
「連動性も良かったが、シャドーならではの戻らないといけない場面でもしっかり戻っている。プレシーズンの段階から守備も献身的にやっていて、トレーニングを見ていてもしっかりやってくれる。問題なくできていると思う」
今節は薩長ダービーとして鹿児島を迎え撃つ。相手は4バックを敷き、ボールホルダーには厳しく寄せてくる。藤岡が相手の手厳しい守備に遭うのは想像に難くないが、同じく強度の高かった宮崎戦での経験を生かして、力強く戦う姿勢を貫く。
「アウェイでの鹿児島戦は出ていなかったが、負けてしまったので、ホームでは本当に勝たないといけない。1試合1試合が僕にとってもチームにとっても勝負。自分たちのシステムでは段差を作れるので、それをうまく使いながらやりたいし、相手が来たところをしっかりはがせればチャンスになる」
今週のトレーニングでも藤岡は鹿児島の出方を頭に入れてゴールを意識するとともに、細部にもこだわって味方を生かすプレーも繰り出した。熱くも冷静に、最善を選択するのも藤岡流だ。「90分での連勝もできていないので、なんとしてもホームで2連勝を成し遂げたい」。いざ、薩長ダービー。研ぎ澄まされたゴールへの嗅覚とそれを結実させる技術を披露する試合がやってくる。

(前線の連係では)宮崎戦は藤岡浩介くんと二人で立ち位置を意識し、大分戦は小林成豪くんもカズヤ(野寄和哉選手)もボールを持てる選手だったので、長いボールを僕がしっかり収めたり、競り合いの部分で行ってあげたりするということは意識しました。鹿児島戦では前回の対戦を振り返りながら、また自分のやるべきことを明確にして臨みたいと思います。
前回も鹿児島はシャドーのポジションにボールが入れば一気にマンツーマン気味に来ましたが、逆に言えばそこをはがせると一気にチャンスになるので、個人のところで負けないことと食いついた選手をどうはがすかが大事になると思います。連勝はチームが浮上するきっかけになると思います。前半戦は90分での連勝がなかったので、後半戦の最初に連勝ができるとまた波に乗っていけると思います。
(田所莉旺選手は)試合の中からもコミュニケーションを取りながらやりました。何よりのびのびやって、自分の力を出してもらうほうが良いと思ったので、「自分がカバーに行くから思い切りやってくれ」と伝えました。ディフェンスラインの連係はまだ良くなっていくと思いますし、誰が入ってもしっかりコントロールできるようにしたいと思います。
鹿児島戦は前回は出ていなかったですが、去年も2回対戦していて、パワフルなチームという印象があります。前線にも強力な選手がいて、タフな試合になると思いますが、自分たちの持てる力を出せれば必ず圧倒できると思います。順位を考えても上に行くには勝たないといけない試合です。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
鹿児島ユナイテッドFC PICK UP PLAYER
有田稜(背番号9)
攻撃の起点となる中心選手
守備陣との攻防に注目!
鹿児島の注目選手はもちろん最前線でプレーする有田稜だ。有田は昨季をレノファでプレーして、29試合に出場。今年は2年前までプレーしていた鹿児島に復帰し、J2・J3百年構想リーグは第7節から4試合連続で先発出場中。第8節熊本戦でPKから今年の初得点を挙げ、チームを勝利に導いている。今節は有田のプレースタイルを熟知する5.喜岡佳太とマッチアップすることになり、見応えのあるバトルになりそうだ。
フィジカルが強く、相手選手を背負ってボールを収められるのも有田の特徴だ。レノファ守備陣としてはファーストボールを簡単に収めさせないことに加えて、有田に入ったあとのセカンドボールを周りに回収させないためのコンパクトな守備も大事になる。喜岡との攻防のみならず、ボランチや他のセンターバック陣を含めた守備連係も重要になり、レノファ守備陣にとっては守備の原則を再確認する機会にもなるだろう。
有田とともにプレーしてきた34.古川大悟、古巣戦となる19.山本駿亮にとっては、“結果”で負けられない試合だ。相手よりも多くゴールを決めて、レノファの強さを示したい。また、喜岡や古川、山本にとってはセットプレーの守備でも大きな役割が期待される。今節はセットプレーが増える展開も想定され、必然的にターゲットになる長身選手は激しく競り合うことになる。セットプレーからの失点を減らしたいレノファにとっては、その場面でも有田をしっかりと封じたい。
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