

レノファ山口FCは中4日で再びホームゲームを迎える。前節は地元出身のキャプテン、20.河野孝汰が先発して攻撃の起点となり、手堅い守備を敷く相手から決定機を作った。試合自体は悔しい結果となったが、今節もシュートチャンスを増やし、難敵ベガルタ仙台からの勝利を引き寄せよう。
チームは今、決定力が大きな課題になっている。J-STATSのデータによれば、レノファの前節のゴール期待値は速報値で1.65だった。相手(0.66)よりも1ポイント近く高いもので、決定機の質と量で相手を上回ったことは間違いがない。ただ結果は0-1で負けており、ゴール確率を定量評価した「期待値」の真逆となった。
決定力にフォーカスできるのは、それだけチャンスを作れている証左だ。20.河野孝汰を起点に、8.野寄和哉、31.草野侑己、45.山本桜大などが流動的に絡んでいく攻撃は迫力があり、相手が手をこまねく時間も作れている。途中から試合に出る選手たちの動きも良く、フィットしてきている98.アレフ フィルミーノはこう話す。

「Jリーグでのプレーには慣れてきている。日本はスプリントの部分での速さは特徴だと思う。自分のポジションはFWのストライカーとしての仕事をするところなので、得点を取る動きをやっていきたい。試合内容自体は悪くはないので、勝利に向けて集中し、勝ちにつなげていきたい」
相手の仙台はレノファの直近の対戦相手とは異なる4-4-2のシステムを敷く。河野やフィルミーノが相手センターバックや相手ボランチの嫌がるポジションでボールに関わることには変わりないが、他の選手が自由を得られる場所は前節とは変わってくる。
両チームの現在のフォーメーションを図に描いて突き合せてみると分かりやすいが、そのままの形ではレノファの2トップ2シャドーに対して、相手もセンターバックとボランチが同数で噛み合う形となる。相手に掴まらずにレノファ攻撃陣が前を向いてプレーするには、より個人がダイナミックに縦に抜け出したり、幅を使って相手を動かしたりする必要も出てくる。
特に山本桜や野寄のポジションは前節以上にタフな動きが求められる。前節後半は動きが封じられてクロス偏重になってしまっただけに、リズムを生み出すエリアにいる彼らの動きこそが勝負の分かれ目だと言えそうだ。
チームは守備面の改善も急ぐ。今週は短い準備期間となったが、中山元気監督は前節の内容を細かくフィードバックした。失点は縦に通そうとしたパスがミスとなってカウンターを受けたことがきっかけ。ただ、チャレンジの縦パス自体を怖がってしまうと攻撃の良さが消えるため、中山監督は「チャレンジしなければいけないが、失敗したあとに守り切れないのが一番の原因」としてプレスバックや切り替えの判断に力点を置く。

「チャレンジしても良いエリアだが、失うこともある。前から奪いに行く分、背中にボールが入ってしまうということもあり得る。仙台戦も相手は背中を通そうとしてくるだろうし、そこでキープできるFWがいればチャンスにもなるが、起こり得ることとして守れなくてはいけない。そこをしっかりとチームとしてフィードバックした」
仙台は前線に宮崎鴻(背番号99)を配置し、機動力のある外国籍選手も近い距離かつペナルティーエリア内で仕事をする。カウンターやミスから彼らに起点を作られないようなディフェンスが必要になる。前節の試合でも外国籍選手へのハードマークを貫いた5.喜岡佳太を中心に、集中して粘り強く対応していきたい。
試合は今節も両ゴール前の質をいかに出せるかがカギになる。その意味では主導権はレノファにあり、レノファが決め、レノファが守り切るというサッカーの究極にこだわって90分間を進めることが勝利への早道となる。復活した選手、新加入の選手にも期待が懸かる一戦は、16日(土)午後7時キックオフ。ホームゲームとしては夏休み期間中の最後の試合となる。みんなで最高の思い出を刻む熱戦にしていこう!

前節の甲府戦で先発出場し、約1年ぶりに維新みらいふスタジアムのピッチに立った20.河野孝汰。大きなケガを乗り越えた若きキャプテンは得点を生み出そうと奮闘し、ゲームから離れていたことを感じさせないパフォーマンスを見せた。枠を捉えるシュートは相手GKのセーブに遭ったが、河野の存在感は抜群だった。
「ゴール前に入って行けている。もうちょっとのところで決められなかったのはもどかしいですが、ゴールは目の前にあるという気持ちで取り組むようにしたいです。もうちょっと強度を出したり、自分で上げていくしかない部分はありますが、自分自身にしっかりと求めてやっていきたいです」
60分過ぎに足を攣って交代。それでも復帰2戦目にして60分以上を走れたことには「足を攣るところまで力を出せたのは良かった。ポジティブなことだと思う」と前向きに受け止める。
2024年9月に左前十字靱帯を負傷し、今年5月頃まではピッチの外からボールを使わずにリハビリに取り組んできた。メディカルスタッフやコーチ陣の献身、それにサポーターからも温かい言葉を投げかけられる中で2節前の藤枝戦でようやく復帰。ボールをもう一度蹴られるピッチは特別なものとなった。
しかし、復帰戦はもう一人のキャプテン18.亀川諒史が長期離脱の負傷を負う試合と重なった。「カメくんにショッキングなケガが起きてしまって──」。長いリハビリを経た河野だからこそ分かるものがあるのだろう。年齢差はあれども亀川に心を向け、チームを引っ張ってきたベテランの分まで働く決意を語った。
「ピッチ内外を問わずカメ君がチームの中心にいました。悲しいケガですが、そこでチームが士気を下げてしまうのではなくて、自分自身ができること、チームに還元できることをチームメイトを巻き込んでやっていく。チームの先頭に立って引っ張ってきてくれていたカメくんの思いを忘れずに、責任感を持って残りの試合を必死に戦っていきます」
今節は4-4-2のシステムを採る仙台をホームに迎える。前節以上に相手センターバックとボランチの間でボールを引き出したり、背後に抜け出したりしてチャンスを作る必要があるが、河野は味方との連係にも手応えがある。
「お互いに良い距離感でできていると思います。(山本)桜大は自分で何でもできる選手なので、自分がてっぺんに入ったときには、うまく使ってあげようと考えています。お互いに見ていてほしいということは言い合っていますし、お互いの良さを引き出すということに関しては前節も良い関係性を作れていました。次も立ち位置は全員が考えながらやらないと単調な攻撃になるので、立ち位置で有利に立って戦っていきたいです」
そう話すように45.山本桜大を活かす場面は増えるだろう。またヘディングの感覚も良く、31.草野侑己や55.岡庭愁人が上げるクロスボールに飛び込むシーンも増やして相手ゴールを脅かせれば、自ずと得点は近づいてくる。「ホームで勝ちを届けたい」と話すストライカーの面目躍如たる試合にしていきたい。
今週12日には22歳の誕生日を迎えた。「21歳は悔しい時間だった」と振り返りながらも、文字通り一歩ずつ復帰を目指し、実際に復帰を果たした1年間は大きな糧となった。来る仙台戦は22歳での初戦。河野の活躍がチームを勝たせ、離脱の仲間を勇気づけるものとなるはずだ。
「21歳の1年はリハビリが長い時間続き、サッカーから離れて、もどかしい時期でしたが、間違いなく自分にとってプラスの時間になりました。22歳はケガせずに強い体を作り、サッカーを楽しみ、感謝の気持ちを忘れずにやっていきたい。(仙台戦は)勝ちたい気持ちは間違いなく自分たちのほうが強い。試合を決定づけるところを見せて、ホーム戦で皆さんの前で勝利を届けたいです」
復活の若きキャプテンが仲間の思いを引き継いで戦っていく。スタジアムを笑顔で満たすために、降格圏から抜け出すために。22歳となった河野孝汰のサッカー選手としてのストーリーが再び動き出す。

仙台は外国人FWもいますし、決定力のある選手もいます。そこに対して前半を無失点でしのぐことが一番大事になってくると思います。甲府戦はワンチャンスでやられたというゲームでしたし、自分たちがボールを握っている中で決めきれない試合でした。こういうことがあるのもサッカーだと思うので、逆に自分たちにとって難しい試合でもワンチャンスを仕留めるということをやっていきたいです。
縦パスはディフェンスの立場であれば狙いますが、そこで怖がってしまうと甲府戦の後半のように外回しになってしまう。怖がらずに縦パスを狙うことと、リスクを避けて外で回すということは両方を使わないといけないと思います。失点になった時も自分たちのゴールから近い位置ではなかったので、縦パスの選択も問題はなかったです。取られてからも人数が足りていないわけではなかったので、ミスをカバーできる守備は必要になる。甲府戦は失点になりましたが、そういう縦パスを出すというプレーは続けていきたいです。
(新加入の西堂久俊選手は)アタッカーなので自由にやってもらいたいと思います。仕掛けるところ、得点に絡むプレーは得意だと思うので、後ろの選手がしっかり支えて、前で得点に絡んでもらえればと思います。
チームの順位は残留争いをしていますが、練習をしてみた感じやこの前の試合を見た感じも良くて、やることもはっきりしています。アグレッシブに戦えていて、一人一人の能力は高いですし、この順位にいるチームではないと率直に感じました。ただ、課題に思ったのは攻撃においても守備においてもゴール前の質のところです。攻撃であれば決めきるというところでしかゲームは動かないですが、その質は上げていけると思いますし、僕自身もそこはやっていきたいと思います。
サイドのところでの貢献は求められていると思います。アタックの部分、ゴールやアシストの部分でチームの勝利に貢献しないといけないと思います。仕掛け、推進力はチームにとってプラスになる部分だと思うので、そういう部分は発揮していきたいです。チームの最重要目標である残留に向けて、一戦一戦、目の前の一つのパス、一つの1対1にこだわって、少しでもチームの勝利が近づくようにやっていきたいです。
(仙台は)4-4-2なのでサイドハーフとサイドバックが僕らのウイングバックに対してどう付くかが曖昧になりがちになる。そのミスマッチや受け渡しのズレをうまくポジショニングやタイミングで突ければ良い状態でボールを進められると思います。ボールを引き出すというところではそこがキーになってくると思うので、そこは意識してやっていきたいです。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
ベガルタ仙台 PICK UP PLAYER
小林心選手(背番号59)
J3高知から加入の新戦力
下堂との対決にも注目!
J3リーグの高知ユナイテッドSCから6月に加入したFWが仙台のキープレーヤーだ。前節のリーグ戦で3試合ぶりに先発し、得点こそなかったが味方の縦パスに抜け出してゴールに向かうシュートを放つなど果敢に右足を振った。すでに小林は6月28日の磐田戦でJ2初得点を挙げているが、タイミング良くチャンスに絡んでいくセンスは抜群で、レノファの守備陣は特徴ある選手に思い通りのプレーをさせないように気をつけたい。
新潟県出身の小林心は流通経済大を経て2023年にJFL時代の高知に加入した。初年から得点力を発揮してゴールを次々と決め、翌24年にはチームのJリーグ昇格に貢献。Jリーグ初挑戦となった今年は開幕から試合出場を続け、ハットトリックを含む10得点を叩き出す。その活躍が目に留まってJ2上位の仙台に迎えられた。数字は決定力の高さを示すが、前線での献身性も兼ね備え、起点となったり、プレスを効果的に掛けたりする万能型のFWだ。
対峙するのがセンターバックの14.下堂竜聖となるが、高知での下部リーグ経験を経てJ2でプレーするという共通点がある。下堂が21年まで、小林が23年からの高知所属で時期は重ならないとはいえ、南国で自ら道を切り開いてきた者のプライドもぶつかる試合だ。レノファの守備を率いる中心軸と波に乗るFWとの対決にも注目したい。
INFORMATION
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