レノファ山口FC

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PREVIEW

プレーオフラウンド進出を懸け全力で挑むナイトゲーム

J1で現在2位の難敵・柏レイソルと6年ぶりの対戦!

 

5月18日の下関での激闘から中2日で、JリーグYBCルヴァンカップの1stラウンド3回戦に臨む。レノファ山口FCにとっては短い期間となったが、コンディション調整と試合への準備に充て、万全の体制でJ1チームとの対戦に挑む。

 

ルヴァンカップは5月21日に1stラウンド3回戦の7試合が行われ、プレーオフラウンドに進むチームが決まる。6月に予定されるプレーオフラウンドを戦うのは1stラウンドを勝ち抜いた7チームとACL2出場のサンフレッチェ広島の計8チームだ。

 

J2勢で3回戦に残っているのはレノファとカターレ富山、ジュビロ磐田の3チームのみ。勝ち上がるほどにJ2クラブにとってはハードな連戦が増えていくことになるが、J1チームとの対戦で得られる経験値は大きく、成長の起爆剤になりうる。今節も旋風を起こし続けるレノファのプライドを胸に、勝利へと突き進んでいこう!

 

3回戦でホームに迎えるのはJ1リーグで2位に立つ柏レイソルだ。柏はリーグ戦前節こそ雨中のFC町田ゼルビア戦で0-3の黒星を喫しているが、それまでは2カ月以上を無敗で戦っており、チームは好調を維持する。ルヴァンカップは1回戦をJ3アスルクラロ沼津に1-0、2回戦をJ3福島ユナイテッドFCに3-2で勝利している。

 

レノファは柏とは初顔合わせではなく、6年前の2019年にJ2リーグ戦で2度の対戦があった。同年2月24日のみらスタでのホームゲームは、レノファが善戦したものの1-2で惜敗。後半戦の8月10日は柏のホーム・三協フロンテア柏スタジアムで行われ、オルンガにハットトリックを許すなど圧倒され、1-4の大敗を喫してしまった。

 

両試合とも10.池上丈二は負傷などのためにメンバーに入っておらず、出場した選手で現在もレノファのユニフォームを着る選手はいないが、チームとしては雪辱を遂げたい試合にもなる。

 

現在の柏は3-4-2-1のフォーメーションをベースに戦っている。質の高いボールポゼッションで相手を左右に揺さぶり、スペースができるとすかさず縦に差し込んで決定機を作る。柏も連戦のためにメンバーを入れ替える可能性はあるが、最前線では日本代表の細谷真大(背番号9)がシュートレンジに入り、左サイドではジエゴ(同3)がサイドチェンジのボールを受けて攻撃の起点となる。

 

レノファが相手のボールポゼッションに振り回されると厳しい試合になってしまう。守勢に回る時間があるのは避けられないとしても、なるべく多くの時間で相手のポゼッションを許さないようなプレッシングを仕掛けていきたい。2回戦の鹿島アントラーズ戦でボランチで先発した6.キム ボムヨンもプレスとハードワークが重要になると語る。

「レノファらしいサッカーをやりたいと思います。鹿島戦もそうでしたが、まずは相手よりも走らないといけない。もっと走るという意識が大事ですし、相手が嫌なプレーをみんなで共有しながらやっていかないといけないです。僕らがミスをするより、相手にミスを起こさせるような入り方が大事だ思います」

 

攻撃では少ないチャンスを決め切る決定力もカギを握る。山形戦で17.田邉光平のクロスから19.山本駿亮のゴールが決まったのは大きな収穫で、3バックの相手に対してサイドで優位性を築きつつ、クロスボールから仕留めるというフィニッシュワークは今回もトライし続けたい。クロスを絡ませた攻撃では、前節は出られなかった11.横山塁、サイドを突いて深い位置からボールを上げられる27.小澤亮太にも期待が懸かる。

それに、リーグ戦の出場機会を得られなかった選手にとっては、自分の価値を示す場にもなる。志垣良監督が「出られていない選手も良い雰囲気で練習してくれている」と話すように、どの選手も一様に強度の高いトレーニングができており、メンバー選考も楽しみだ。

 

今回も相手よりもハードワークするほどに勝機は引き寄せられる。90分ではなく120分の戦いになる可能性もあるが、最後まで走り続けるエネルギーをイレブンにチャージするのが、ホームスタジアムにこだまする応援だ。まだ見ぬ景色を眺めるために、この試合も全ての力を結集し全力で挑んでいこう!

PICK UP

精密なパスワークで上位快走の強豪

アカデミーからも多くの選手を輩出

 

柏レイソルは1940年創部の日立製作所本社サッカー部を源流に持ち、1970年代に2度の天皇杯制覇に輝くなど強豪クラブとして歴史を積み重ねてきた。一時は日本サッカーリーグ(JSL)2部への降格など低迷期もあったが、1994年のジャパンフットボールリーグで準優勝してJリーグに昇格。1995年からJリーグを舞台に戦っている。

 

Jリーグ昇格以降も一時的にはJ2に降格するシーズンもあったが、いずれも1年でJ1復帰を果たしている。特に2010年はJ2優勝でJ1に復帰し、翌2011年にはJ1も制覇するという連続優勝の快挙も成し遂げた。ルヴァンカップでは名称変更前の1999年と2013年に頂点に立ち、天皇杯でも2013年元日に決勝戦が行われた第92回大会を制しており、日本のサッカー史に燦然とその活躍が刻まれている。

 

近年はブラジル人監督のネルシーニョ氏が指揮を執った期間が長く、堅守速攻を基軸としたスタイルで多くのタイトルをもたらした。2023年途中からは井原正巳氏が監督を務め、今年はスペイン人のリカルド ロドリゲス氏がチームを率いる。リカルド ロドリゲス監督は徳島ヴォルティス、浦和レッズなどを率いていた指揮官で、効果的なプレッシングと洗練されたボールポゼッションで主導権を握る。

 

選手個人の能力も非常に高く、要所には日本代表に招集された経験を持つ選手が揃う。前線の細谷真大(背番号9)は代表戦で計6試合に出場して1得点を挙げ、柏では9番を付けてほとんどの試合でピッチに立つ。リーグ戦全試合に出場中のセンターバックの古賀太陽(同4)、守護神でもあるGK小島亨介(同25)も代表に選ばれた精鋭だ。小島は今年2月から3月にかけての「2025明治安田Jリーグ月間ベストセーブ」に選ばれている。

 

そして、今年はレオーネ山口(現レノファU-12、U-15)出身の原川力が加入した。レオーネU-12時代は田中陽子(レノファ山口FCレディース)とともにボールを蹴り、中学校は維新みらいふスタジアムのそばの鴻南中学校に通った。地元凱旋が叶えば特別な試合となるだろう。ボールを動かし、自らゴール前にも顔を出すタレントは対戦相手として見れば脅威ではあるが、山口が生んだ逸材のプレーは間近で見てみたいものだ。

 

気がかりなのは原川が4月6日のリーグ戦で途中離脱したことだ。オフィシャルの発表はないものの、それ以降はピッチに戻っておらず、原川の主戦場のボランチでは現在は山田雄士(同6)がプレーしている。

 

その山田は柏レイソルU-18からトップチームに昇格している選手で、柏のサッカースタイルを知る選手の一人だ。柏は山田のようにアカデミーからも多くのプロサッカー選手を輩出している。

 

レノファでは45.山本桜大が柏のアカデミー出身。過去にレノファに所属した選手では、島川俊郎(現所属=相模原)、田中陸(同)、浮田健誠(長野)などが柏のアカデミー出身で、レノファでもプレーしたのちにそれぞれのクラブでトップ選手として活躍する。新保海鈴(横浜FC)も中学生年代まで柏のアカデミーでプレーした。

 

トップチームでのキャリアに限ってもレノファとの縁はあり、株式会社レノファ山口の渡部博文社長は柏でサッカー選手としての第一歩を歩み出したほか、2回戦で対戦した鹿島アントラーズに所属する小池龍太はレノファでのプレーを経て2017年シーズンからの3年間、柏で活躍した。2019年シーズンにレノファで4ゴールを決めた故・工藤壮人さんも長く柏でストライカーナンバーを付け、2013年にはリーグ戦で19得点を挙げたほか、ルヴァンカップ(Jリーグヤマザキナビスコカップ)では決勝戦を制するゴールをしずめ柏に2度目の戴冠をもたらした。

 

今回の柏戦は、日の丸を背負ってきた選手やアカデミー出身、山口にゆかりがある選手などとの対戦が大いに楽しみだ。そして、今回の対戦にあたって注目と警戒の両方が必要になるのが、インサイドハーフの小泉佳穂(背番号8)と渡井理己(同11)だ。小泉は浦和、渡井は徳島でリカルド ロドリゲス監督の指揮下で戦っており、新指揮官の戦術をよく知る。ボールによく触り、オープンスペースにも出て行ける選手たちだが、いわゆる“3人目”の役割も担って敵陣で数的優位な状況を築く。

 

小泉は2019年と20年に琉球でプレーし、レノファの26.田口潤人もよく知る間柄。田口は小泉を「技術があって素晴らしい選手」とリスペクトする。ただ、無失点の試合を続けるにはインサイドハーフに自由にプレーさせるわけにはいかない。小泉は今季ここまで3得点を挙げ、渡井はルヴァンカップ2回戦でジエゴ(背番号3)のスルーパスから左ポケットを取って決勝点を決めている。レノファはリーグ戦前節の山形戦で相手センターFWに意識が行きすぎた分、トップ下の國分伸太郎にボールを持たれた時間があった。柏戦ではその反省を生かして相手のインサイドハーフにも守備の網を掛けていきたい。

 

前身時代を含め80年以上の歴史があり、日本のサッカー史に名を刻んできた柏と6年ぶりに対戦する。実力ある選手たちとの対戦も楽しみだが、レノファが次の一ページを開くにも絶対に負けられない戦いだ。レノファらしいアグレッシブなサッカーを徹底してやり遂げ、今回もJ1の上位チームから白星を引き寄せよう。

選手コメント

毎試合にゲームプランがあって、どうやって攻めるどうやって守るというのはもちろん大事ですが、1メートルのポジションの違い、1秒の戻りの遅れ、1秒のコーチングの遅れというようなわずかなところで試合は決めるので、そういうゴール前の少しの局面の戦いが大事です。リーグ戦の山形戦はそこの集中力も高く、みんなでズレを埋めあっていたのが良かったと思います。良い形での守備がありましたので、柏戦もやってきたことを思いきりぶつけるだけだと思います。

 

柏はどの選手もレベルが高いと思いますが、個人的には琉球で一緒にプレーしていた小泉佳穂選手は同い年ですし、当時からサッカーのことも話していました。技術があって素晴らしい選手なので、相手にしたら嫌な選手でもありますが、ともに試合に出ることがあれば対戦は楽しみです。

 

柏は自分たちでポゼッションをしながら主導権を握ってゴールに向かうチームですし、その攻撃は注目されますが、切り替えも速いし、強度も高いチームです。逆にレノファはハイプレスやプレッシャーの掛け方に特徴があるチームなので、ボールを握りたい相手との試合というところでは、自分たちがやってきたことをぶつける良い機会になると思います。鹿島戦も相手をリスペクトしすぎて引くのではなく、ぶつかっていった結果が勝利になったと思いますし、それを柏戦でも見せられたら、見ている人にもエキサイティングな試合にできると思います。

選手コメント

柏はつなぐのがうまいチームというイメージが自分の中にはあります。サイドにも速い選手がいて、中盤の選手がうまくボールを持って時間を作ってくると思います。自分たちは守備の時間が長くなると思いますが、攻撃では自分たちも保持することが大事になってくると思います。オープンな展開になった時には自分たちが優位な場面が出てくると思いますが、まずはチームとして一瞬の隙を与えないように、守備の意識をしっかり持って試合に入りたいと思います。

 

柏の中島舜とは幼稚園が一緒で、大学の関東選抜でも話をしました。マッチアップできればいいなと思います。中島舜は右サイドをやっているので、自分が左サイドバックをやればマッチアップすることもあると思います。そこをうまく抑えて攻撃に出ていけるように積極的に仕掛けていきたいです。

 

最近の試合では自分は一列前で出ることもありますが、やることの大体のところは変えずに、クロスやシュートをやりきることやチャンスを作ることは意識しています。練習からクロスが良いところに上げられるようになって、試合を重ねるうちに効果的なプレーとか、絶対にクロスに持っていけるドリブルでの仕掛けも身についてきているので、その精度をもっと上げて結果につながるようにしていきたいです。

前節ハイライト

前回対戦ハイライト

レノファニスタ