

前節の勝利で残留圏との勝点差を3に縮めたレノファ山口FCは今週末、維新みらいふスタジアムで7位ジュビロ磐田と対戦する。
磐田との前回対戦はレノファが1-0で勝利した。半年以上も前の4月29日に行われた試合だったが、流れるような決勝点は覚えている人も多いだろう。40.成岡輝瑠の縦パスを8.野寄和哉が収めて背後に流し、30.奥山洋平のグラウンダーのクロスボール。これを45.山本桜大がしずめた鮮烈なゴールだ。この良いイメージを持って試合に臨みたい。
ただ、磐田は9月末に指揮官が交代しており、前回対戦からの変化もある。前回対戦時の磐田は4-2-1-3のフォーメーションを組んでいたが、前節は3-1-4-2に組み替えて長崎に勝利している。対戦相手によって変える可能性があり、レノファ戦で4バックで来るか、3バックで来るか、その策略は見通せない。
相手はレノファの選手の特徴がよく分かっているだろう。フォーメーション選択の主導権は磐田にあると言っても差し支えない。レノファが相手へのプレスをしっかりとはめるためにも、序盤は相手の動きを見るような戦いになりそうだ。
システムがどうあっても、磐田は前線に機動力のある選手を配置し、彼らの個の力を生かしてフィニッシュシーンを作ったり、サイドからのクロスボールを得点源にしたりする積極性は変わらない。2トップは前節の試合でPKを決めている渡邉りょう(背番号9)と岡山から加入したブラウンノア賢信(同79)が担う。特にブラウンノア賢信のモビリティーは脅威であり、渡邉が決めることになるPKは彼の突破がファウルを誘った。
レノファは直近2試合、ボール保持力をストロングとするチームと対戦してきた。彼らの特徴を出させないようにしたことがレノファの勝因となったが、上述のように今回は様相が一変する。お互いにフィジカル面が強く、似たような長所を持つ。シーズン終盤戦は互いにそれをフルに発揮して結果を手繰り寄せようとしているのだから、前節までとは違う戦いになりそうだ。

「一人一人のクオリティーが高く、難しい試合にはなるが、チームみんなでしっかりと足を動かす。1対1の局面は多くなるが、そこでまずは負けないことが大事になってくる」
中山元気監督もそう話し、前回とは異なる内容になると展望する。特に両ゴール前は個と個がぶつかり合う局面が多発する。攻撃では9.有田稜が前節以上にボールを収め、周りも連動して動けるかがポイントになる。守備では4.松田佳大、5.喜岡佳太、76.磯谷駿がバトルにチャレンジすると同時に、17.田邉光平を軸とする中盤のセカンドボールへの反応速度もカギを握る。
強度を出し続けるためにはベンチワークもキーポイントになるが、何より選手の大きな味方になるのが、スタジアムに詰めかけるオレンジ色のサポーターだ。

「これからが本当に大事な試合。ここまでの積み上げで勝点を取れているということに自信を持ち、山口のプライドを持って戦いたい。サポーターの皆さんが苦しい中で声援を送り続けてくれているので、僕たちも勝ちへの姿勢をこれからも見せ続けたい」
熱く意気込みを語るのは、ペナルティーエリアの中での仕事が際立つ野寄だ。今節はいっそう忙しい試合になるのは間違いないが、言葉の通りプライドを胸に、全力を懸けて試合に挑む。
残留圏到達に向けて再び勝点3を積み上げるべき試合が始まる。我らがホーム・維新みらいふスタジアムでオレンジの魂を震わせ、未来につながる白星へ、一丸となって戦っていこう!

前節もフル出場を果たした9.有田稜が、チームを勝たせる活躍を続けている。
2節前の富山戦ではセットプレーから生まれる5.喜岡佳太のゴールを巧みなヘディングでアシスト。熊本戦では1.ニック マルスマンからのフィードを確実に収めて攻撃の起点となった。20.河野孝汰の決勝点もファーに動いて相手DFを引き連れた有田の献身性が寄与。試合終盤はフィジカルを活かしてのボールキープで時計の針を進め、勝利に貢献した。
「めちゃくちゃきつい試合になったが、一勝に懸ける思いがすごくサポーターからも伝わってくる。(熊本戦は)選手、スタッフも全員が駆けつけてくれていた。チーム一丸となってやっている以上、ピッチに立つ人間が足を動かせないということはあってはならない。自分にできる最低限はやった」
熊本戦の終盤には足が攣りかけたというが、千人超の声援が足を動かした。「孝汰が決めてくれて、全員で粘り強く守れた。大きな勝点3だった。全員が同じ方向を向いてやれているので、最後の時間帯も迷いはなかった」。
そう熱戦を振り返る有田だったが、フル出場で得た勝点3にも白い歯がこぼれることはなかった。
「チャンスが多くある中で決めきれなかった。これだけ試合に出させてもらっているのにこの順位にいるのは自分に責任があると思う。最初に立てた目標ではないが、残留は絶対に果たさないといけない。今はそれだけしか考えていない。自分にできることをやっていく」
今年はストライカーの数字とも呼ばれる「9」を背負う。これは2015年にJ3得点王でレノファをJ2に導いた岸田和人サポートスタッフが長く付けてきた番号でもある。ゴールが期待されるナンバーに他ならず、有田の言葉からも9番の重さが伝わってくる。ただ、シュートに行ける場面が少ないからといって、他の仕事をサボらないのも、彼の良さだろう。
自身もFWとして活躍してきた中山元気監督は、「前線で体を張ってくれて、攻撃だけではなく、守備のところでもしっかりチェイシングしてくれている。本当にしっかりハードワークしてくれている」と有田を評価する。実際に今節の磐田戦でも、相手の初手を許さないハードディフェンスでまずは存在感を示してくれそうだ。
「相手が3バックで来るのか、4バックで来るのかで対応は変わると思うが、相手もラフなボールが増えていると思う。デュエルの部分でどれだけ上回れるか。そこが勝敗を握る」
有田はそう話し、攻撃でも守備でも球際のバトルで上回るプレーを目指す。もちろんストライカーの本分はやはり得点だ。守備に走り、味方を救うプレーはゴールネットを揺らす瞬間へと結実するに違いない。
「毎試合、得点は狙っている。取りたいという気持ちは強いので、得点をみなさんに届けたい。セットプレーも自分が欲しいところにボールが来ている。自分たちが積み上げてきたものが、一歩ずつつながってきているので、残り3試合で結果を出せるかは自分次第。相手がどこであれ、目の前の1試合でどれだけ戦えるか。目の前の試合に全てを懸けたい」
そう力を込め、再びハードワークが求められる試合に挑む。今節は勝てば自力での残留が見えてくる試合だ。ストライカーの誰もが憧れる9番の褪せぬたすきを掛け、全力での奮闘を誓う。レノファを勝たせるために、レノファをこのカテゴリーに残すために。「常に自分たちはチャレンジャー。絶対にやりきらないといけない」。魂を込め、右脚を振り抜いて見せる。

磐田は一人一人のクオリティーが高いですが、お互いに勝ちが必要な状況ですので、どれだけ勝つために良い準備ができたか。そしてそれをピッチで表現できるかが勝負を分けると思います。確かに難しい試合になるとは思いますが、集中力高く戦い、相手を走力、ハードワーク、球際でしっかり上回る。当たり前のことですがそこで自分たちがしっかり勝負できることが大事です。1対1の局面も多くなりますが、しっかり負けないようにしたいと思います。
我々だけじゃなく、サポーターの方、レノファに関わる全ての方が勝つことだけを望んでいると思います。我々に力を与えてくださっているので、本当にそれを体現するだけです。サポーターの声で自然と体が動きますし、熊本戦も最後まで集中力が途切れなかったのも、本当に声を途切れずに出していただけたお陰です。磐田戦も勝つということに向かって自分たちがやっていくだけだと思います。
良い流れにあるからこそ、地に足をつけて、上位の相手に戦う気持ちを全面に出して結果を出したいと思います。磐田は良いクロスを持っているのでそこへはしっかり対応しないといけないです。ただ、結局はターゲットの選手との勝負になるので、ターゲットになるFWにやらせない。タイトに付いたり、粘り強く戦うことが大事になる。FW陣のイメージを頭の中に入れつつ、しっかり対応していきたいと思います。
3バックの右という人生初のポジションを経験をしていて、新境地ではありますが、(攻撃のために前線に)上がることで視野が広がり、自分の選択肢も広がっているのを感じています。見返すと、もっと自分が攻撃のために上がっていくことでチャンスになるというシーンもありました。攻撃参加が相手が嫌がるポイントにもなっているので、そういうシーンも出していきたいと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
ジュビロ磐田 PICK UP PLAYER
松原后選手(背番号4)
サイドからチャンスを作るキーマン
絶対に譲れない球際の攻防に注目!
磐田でキーマンになる選手の一人が、レフティーの松原后だ。磐田のアカデミーなどを経てプロ入りし、清水やシント=トロイデンVV(ベルギー)などでプレーしてきた。J1リーグ戦にもコンスタントに出場してきた松原だが、ベルギーでの3シーズンのプレーで強度を含めて経験を積んだ。磐田には2022年に加入。今年も累積警告で出られなかった1試合を除く全てのリーグ戦に出場し、攻撃の積極性や182cmの高さ、デュエルの強度を生かしている。
レノファとの前回対戦では左サイドバックでプレーして、8.野寄和哉、55.岡庭愁人などと対峙した。前節の3-1-4-2のフォーメーションでは左のウイングバックを担う。このままの形であれば、27.小澤亮太や36.西堂久俊とマッチアップすることになりそうだ。
松原は1対1の局面を制して前線に進出すると、タイミング良くクロスボールを入れる。これが磐田のチャンスにつながるだけに、レノファ守備陣としてはサイドを上がる選手にしっかりと規制を掛けたい。もちろんレノファがサイドを制すれば、一転してレノファに風が吹いてくる。サイドの攻撃進出をめぐる熱い攻防は、試合を左右する必見のポイントになる。
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2025シーズン最終戦