

J2は今節を終えると約3週間のショートブレイクに入る。中山元気監督にバトンタッチしたレノファ山口FCにとって貴重な再強化の期間となるが、まずは目の前の試合に勝利し、残留圏へと手を伸ばしたい。迎えるのは今年3回目の対戦となる徳島ヴォルティス。堅守の相手から今度こそ希望のゴールを射抜いていこう。
徳島とは今年、すでに2度対戦している。最初は徳島のホームで行われた5月11日のリーグ戦で、レノファは相手FWルーカス バルセロス(背番号99)に1ゴール1アシストを許して0-2の苦杯を喫した。その1カ月後にあった天皇杯2回戦も1-2で敗れたが、合流したばかりの29.輪笠祐士がレノファで初出場したほか、38.末永透瑛がロングボールのこぼれから一時は同点とするゴールを決めるなど一定の手応えを得るものとなった。
現在もなお徳島はリーグ最少失点を誇る堅守が最大の特徴であり、そこからのカウンター攻撃や流動的なボールポゼッションの使い分けも巧みだ。前線は個の力で得点まで持ち込めるタレントが揃い、上述のバルセロスのほか、多彩なプレーを繰り出す渡大生(背番号16)、高さと足元の技術があるトニー アンデルソン(同9)などが少ないチャンスでも得点を引き寄せる。
レノファの守備で重要になるのは積極的なプレスとスペースのケアだ。徳島の前線に良いボールを入れさせないためには、34.古川大悟、45.山本桜大などが引き続いて強くプレッシャーを与える必要がある。ただ、前節の札幌戦ではそうやって相手の攻撃の質を下げることには成功したが、中盤にできたスペースを使われて失点しており、後方の選手がスライドを緩みなくできるかが大きなポイントになりそうだ。
もっとも、レノファが勝点3を手にするには攻撃を完遂させなければならない。前節はチャンスはあれども無得点。そうした状況を踏まえ、今週はおのサンサッカーパークでゴール前の攻防にこだわって準備をしてきた。

「ゴール前の攻防を何回もやった中で得るものがある。そのシチュエーションの中でどれだけお互いがやれるか。得点をするために相手が嫌なことをみんなが揃えてやることが大事。ラフなボールも必要だし、クロスを上げられる時に上げることも大事。当然それだけではダメで、ゴールに向かっていくプレーの中で変化を起こさせると、初めてクロスのスペースができてくる。順番は間違えないようにしたい」
中山元気監督はそう話し、堅守徳島を揺さぶっての得点を目指す。特にウイングバック同士がマッチアップする両サイドで優位に立てると、クロスボールを存分に生かせそうだ。右サイドでは前節もチャンスを作っている55.岡庭愁人、左では18.亀川諒史や27.小澤亮太がクロスの上げ手になる。

このうち小澤は「1対1が多くなるのでそこに勝つか勝たないかでチームの勝率も変わってくる。クロスには逆サイドからも入ってきてくれているので、良い感じで入れられればと思う」と話す。前線ではクロスに飛びついたり、タイミング良く背後に抜け出したりできる31.草野侑己が再びレノファの戦力となっており、出場すれば草野を生かすフィニッシュワークにも期待が懸かる。
クロスだけでなく、ショートカウンターも狙いどころになる。今節は互いのフォーメーションが似通うだけに、レノファにとってはプレスを掛ける対象が明確。前線でボールを奪い返す場面も何度か出てくるだろう。高い位置での奪い返してのカウンター攻撃では、草野や山本桜、28.小林成豪などのスピードやテクニックを武器にしていきたい。
もちろんアグレッシブに行くほど試合終盤は疲労も溜まってくるため、90分間を俯瞰した試合運びと、選手を突き動かす熱い応援も一層重要になってくる。まさにスタジアム一体での奮闘が必須の試合だ! 「まちじゅうエヴァンゲリオン」とのコラボユニフォームをまとい、浮上のための熱い闘いを全員の力で繰り広げていこう。

中山元気監督になってフォーメーションが変わり、再び先発に抜てきされたのが下堂竜聖だ。それも3バックの中央というディフェンスの要。一つのミスが失点に直結するポジションで、下堂は「失点0で抑え、ホームで勝点3を取りにいく」と誓う。
プロ生活を地域リーグ(四国リーグ)時代の高知で歩み出し、JFL、J3、そしてJ2へと這い上がってきた。J2は過去を振り返れば最高到達点だが、歯を食いしばって階段を求め、一つ一つ上がってきた下堂にとってJ2も未だ通過点。ただ、J1を目指せるリーグにいるチームはJ3降格圏を彷徨い、見つけるべき次への階段はもやに包まれている。前節の札幌戦も悔しい敗戦に終わった。
「前半の締め方が良くなかった。失点が試合に影響しているので守備陣としてはいかに無失点で抑えられるか。あとは得点。セットプレーで仕留めるチャンスは多かったので、そういうところは鍵になる。守っているだけでは勝てないので、攻撃にもフォーカスして精度を上げてやっていかないといけない」
悔やむのは札幌戦で喫した唯一の失点だ。新しいフォーメーションではボランチは29.輪笠祐士の1枚のみ。ボランチの両側は構造上どうしてもウィークポイントになってしまうが、実際にそこを使われてゴールに迫られた。例えば4.松田佳大をより早くスペースに押し出せていれば状況は変わっただろう。下堂はこう続ける。
「秋田戦では相手は縦に速いので(スペースを)使われる現象は起きていなかった。本当に今からはスペースを使われないようにしないといけない。トライアンドエラーを起こしながらやっていくと言っていたらもう残り試合も少ないので、次こそが大事になる」
前向きな要素はすぐに改善できる失点だったことだ。ボランチ脇を使われた場面以外は「スムーズにできた」と話し、「無失点で抑える自信はある」と力を込める。
「まだ2試合目だったが、相手がつないでくるところに対しての連動はみんなができていた。自分はディフェンスラインの真ん中にいたが、みんながスムーズにやれている印象はあった。あとは本当にちょっとしたポジショニングのところを修正して、次は0で抑えたい」
今節は徳島をホームに迎える。天皇杯を含めて2戦2敗の相手で、簡単な試合にはならない。相手はトップに2枚のストライカーを置き、シャドーの杉本太郎はやはりレノファのボランチ脇に顔を出すだろう。センターバックの下堂は的確なコーチングでストロングに対応しないといけない。
「徳島は失点が少ないチームで、前線には個で打開できる選手も揃っている。だからといって同じ相手に3度も負けるわけにはいかない。そのあとシーズンとしては中断期間に入るので、良い状態で中断を迎えられるように、ホームで勝点3を取りにいく」
試合の中で自信を積み重ね、シーズンを重ねて階段を昇ってきた下堂竜聖。頼りになる対人守備や状況を打開する縦パスも未だ成長中だ。今は耐えどきだが、チームを勝たせ、高みに導く真竜となるべく、中断前最後のホーム戦も真っ向勝負で挑む。

(草野侑己選手は)初日の練習から良い動きをしていました。レノファは攻撃でいろいろな色を出せる選手はいますが、草野選手とは似たようなプレースタイルでもあるのでライバルにはなってきますが、自分が成長するためにも学びとっていきたいという気持ちがあります。
徳島とはリーグ戦(の前回対戦)では手も足も出なかったわけではなく、本当にちょっとした差だったと感じています。天皇杯のほうはスタメンで出ましたが、2試合でこうすれば良かったというところもチームで経験できているので、3試合目は絶対に勝たないといけないです。負けは許されないので、勝つだけです。前からの守備でも、相手には強力なツートップがいるので、まずはそこに出させないように圧力を掛け、こだわってやっていきたいと思います。
自分の仕掛けだったりは警戒されてくるところがあるので、その中で喜岡佳太くんが斜めのランニング、オーバーラップも含めて上がっていくことはできています。必要に応じて上がって良いというところはあるので、より攻撃的な形にはなれていると思います。
徳島は攻守において固いチームだと思いますし、1-0、2-0というような勝ち方が多いチームです。(徳島の)ショートカウンターでも前にクオリティーのある選手がいるので、そこには警戒しないといけないです。ただ、それ以上に自分たちが、自分たちのサッカーを信じてできるか。90分間、それを続けられるかというところにフォーカスしたいです。泥臭くてもまずは結果を出して、自分たちの流れを掴んでいくことが大事だと思います。
前節フォーメーション
前節ハイライト
前回対戦ハイライト
スタッツ
徳島ヴォルティス PICK UP PLAYER
渡大生選手(背番号16)
経験豊富なストライカー
前線でのアクションに要警戒
広島皆実高からJリーグ入りし、サンフレッチェ広島や大分トリニータなどでもプレーしてきた渡大生が今節の徳島側のキーマンだ。徳島で5シーズン目を迎える今年は開幕戦からコンスタントに出場し、ここまでは2ゴールを挙げている。得点を量産しているとは言えないが、ストライカーとして多彩なパターンからシュートを放つほか、攻撃の起点となったり、前線から献身的なディフェンスを掛けたりしてチームを引っ張る。
今節はルーカス バルセロスと2トップを組む可能性が高く、前線は強力なコンビだ。レノファは両選手にボールが入る機会を減らす必要があり、渡と似たようなプレーを見せる34.古川大悟は、「渡選手は背後への抜け出しが上手いですし、そこに出させない守備が必要になってくる」と話し、相手に良いボールを出させないように高い位置から規制を掛けていく考えを示す。
最終局面では5.喜岡佳太や14.下堂竜聖が渡とマッチアップし、3バックの左はバルセロスと対峙することになるが、なるべくシュートを打たれる前に跳ね返したい。そのためには29.輪笠祐士、55.岡庭愁人のプレスバックも重要になる。相手が動けるスペースを減らし、2トップが簡単にゴールを狙えるような状態を作らなければ、過去2戦のような複数失点にはならない。経験豊富なFWとの対決は、レノファの守備の完成度を測るバロメーターにもなりそうだ。
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